遺言の撤回②
遺言の撤回②
前々回の遺言の撤回の続きで、重複するところもありますが、今日は「法定撤回」ということについて書いてみたいと思います。民法には「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と記載されています。前々回で書いた、新たな遺言書を作成することによって行うものですね。その他に遺言者自身の行為により、法律的に取り消したとみなされる場合があります。以下のような行為が行われた場合は、以前に作成した遺言書の抵触する部分について取り消されたものとみなされます。
①前の遺言と内容的に抵触する遺言が後になされた場合
例えば、「甲にA土地を相続させる」とした遺言の後に、「乙にA土地を相続させる」と新たに遺言書を作成したような場合。(但し、抵触しない部分については前の遺言が有効)
②遺言の内容と抵触する生前処分などをした場合
例えば「甲にA土地を相続させる」としていたが、そのA土地を売却したり、相続させるはずの預金口座を解約したりする場合。
③遺言者が故意に遺言書を破棄した場合
例えば遺言者が遺言を燃やしたり、破り棄てたりした場合。
④遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合
例えば遺贈するはずの建物を、事情によって取り壊さなくてはならないような場合。
以上のような行為によって遺言内容が取り消されたとみなされることを「法定撤回」と言います。だいぶ前々回と重複してしまう部分があって、わかりづらく申し訳ないのですが、言いたいことは②や④のようなことは、様々な事情で起こり得ることだと思うのです。遺言書を作成した後の、ご自身の生活もあるわけですから。そして、このような行為があった場合は、遺言の方式に従うことなく、法律上撤回されたとみなされるということです。但し、それによって全体を見直ししなければならない場合も出てくることでしょう。