遺言の有効性訴訟と遺留分減殺請求権

遺言の有効性訴訟と遺留分減殺請求権

前回のコラムで新聞に掲載された遺言書の有効性確認訴訟についてのことを書きました。続編というわけではありませんが、今日もその流れのことを少し書いてみたいと思います。
記事での訴訟は前回書いたように最高裁判決において「無効」と判断されています。被相続人が亡くなられたのは2002年のことですから、一審・二審を経て、判決まで本当に長い時間がかかっているわけです。これほど長くかかることは少ないのかもしれませんが、それでもやはり訴訟ともなってしまうと、ある程度時間がかかるものと思われます。おそらく一年なんてあっという間に経過してしまうのではないでしょうか。数年を要する場合が多いものと思われます。一方で遺留分減殺請求権の行使の時効は、遺留分を侵害されたことを「知ってから一年」となっています。ですから遺言の有効性を争っている間に遺留分減殺請求権の一年時効が完成してしまう場合が多いと想定されるわけです。遺言書の「無効」の確認を提訴した側からすると、仮に一年以上かかって裁判所が「有効」と判断した場合、その時点で遺留分減殺請求権を行使する意思表示をしても、もう認められないということになってしまうのです。そのような事態を防ぐためには、訴訟と並行して内容証明等で遺留分減殺請求権を行使する意思表示をしておくのかと思ったのですが、それでは不十分で、訴訟の提起の際には予備的請求として遺言が有効と判断された場合には「遺留分減殺請求」とする訴訟を提起しておく必要があるとのこと。
このようなことは起こらないほうがいいのはもちろんですし、未然に防ぐことが重要であって、それが私たちの仕事です。実際に訴訟問題は起きてしまったら私たちではどうにもできません。でも、人には様々な事情があります。知っておくと役に立つこともあるかも知れないと思い書いてみました。

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