公序良俗と相続

公序良俗と相続

「公序良俗に違反する。」、よく耳にする言葉です。
民法では、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」とあります。
私も初めて聞いたとき、何を言っているのかよくはわかりませんが、なんとなくわかるような気もしていたことを覚えています。これは一言で云ってしまうと、社会的妥当性に反する法律行為は無効であるという感じでしょうか。
例えば、契約は当事者間で自由に定めることができるのが原則ですが、犯罪を行うことを内容とするような契約は当然に無効です。何かを贈与するかわりに愛人となる契約とか・・。
その流れで言うわけではありませんが、相続に関連する内容で公序良俗を考えた場合、まず出てくるのが言葉は悪いのですが不倫相手への遺贈という問題です。もちろん「不倫」などと一慨には言えない様々な事情をお持ちの方もたくさんいらっしゃいますが・・。
ご存知のように遺言も法律行為であり、財産をどのように配分・処分するかは遺言者の意思で自由に決めることができるのが原則です。(遺留分の限界はありますが)
法律上の婚姻関係が継続している中で別の女性と同居し、その方にほとんどの財産を残す内容の遺言書があるような場合に、先ほどからの公序良俗の問題が持ち上がるわけです。このようなケースでは、当然に法律上の配偶者などの相続人側から無効であるという主張がされると思いますが、裁判例は具体的事情に応じて判断しており、有効とされたものもあれば、無効となったものもあるようです。その判断要素となるものが
①配偶者との婚姻の実態がある程度失われた後の遺言がどうか。
②内縁関係がある程度継続した後の遺言がどうか。
③遺贈が不貞行為の関係・維持を目的としたものではなく、遺贈の相手方の生活を保全するためかどうか。
④遺贈の内容が相続人の生活基盤を脅かさないものかどうか。
以上のような個別具体的事情を充分に考慮したうえで判断が分かれることになるようです。
このように、相続においても「公序良俗」に反するかどうかが問題になることがあるわけですね。しかも、上記のような犯罪を内容とする契約などは一目瞭然で反していると判断できますが、遺言となると非常に難しい問題となります。繰り返しになってしまいますが個別具体的事情に応じてとしか言いようがありません。本当に千差万別の事情がありますから・・。

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